50台の友人からの相談です。
2週間前に父が退院し在宅での療養が始まりました。
主に80台のお母さんが介護をしています。
お父さんは、深夜に裸になり母の手に負えず、隣に住んでいる相談者も起きて対応しています。穏やかだった父は、人が変わったようになり、お母さんをよく怒ります。
お母さんは、大変疲れた様子で、すぐに泣ぐみます。
しかし、「お父さんが、かわいそう」と、再入院に決心がつかない様子です。
娘さんは、日中は仕事があり、在宅介護は続けられないと考えています。
- 在宅介助をしているが、限界を感じている
- 病院や施設への、入院や入所に罪悪感がある
- 高齢の介助者が介護の方向性を決められない
- 高齢の親の介護の手助けの方法がわからない
【まとめ】
高齢者は、体調を崩すと容易に日常生活に介助が必要となる場合があります。
在宅生活で自分が情けなく、妻に暴言を吐くことも、あります。
夜間の問題行動は、家族が眠れなり、在宅療養の継続を困難にします。
短期間でも在宅生活ができて良かったと、家族間で思い合うことが大切です。
施設入所の利用で、家族に余裕が生まれ、本人との関係が良くなることも多いです。
退院までの経緯
相談者は、実のご両親と、同じ敷地内の別棟に住む次女さんです。
どういった経緯で、相談に至ったのか、必要な情報を書きます。
家族の情報
相談者 次女(相談者)53歳 日中は仕事 両親と同敷地内の家に家族と住んでいる。
要介護者 お父さん 89歳 呼吸器疾患で入院中していたが、強く希望し自宅に退院した。
主介護者 お母さん 85歳 軽い心不全と、腰やひざに慢性的な痛みがある。
長女56歳(相談者の実姉) 日中は仕事 近所に家族と住んでいる。
お母さんが在宅療法を決心した理由
お父さんの入院していた時は、コロナ感染の流行中でした。
そのため、直接会う面会はできませんでした。テレビ電話での面会でした。
入院当初からお父さんは、とてもさみしいと訴えていました。
お母さんとのテレビ電話中に、いつも泣いて「家に帰りたい。」と、言いました。
お母さんは、面会のたびにとても悲しい気持ちになりました。
お父さんは、入院して2か月後には、病気も緩解して、自分で病棟内のトイレに行けるまでに、回復しました。
お母さんは、「自分でトイレに行けるから、在宅療養を支えていける。」と、自宅への退院に前向きになりました。
2人の娘さんも、ご両親の在宅生活の支援に前向きでした。
ご家族、病院職員、ケアマネージャー、退院後のサービス提供事業者で、退院に向けての準備が始まりました。
退院の準備中に容体が悪化する
退院の準備中に、お父さんは肺炎になりました。
退院日は、1か月延長されました。肺炎は良くなりました。
しかし、足腰が弱って自分でトイレに行けなくなり、おむつ着用となりました。
医師は、「高齢なので、現状より日常生活動作の改善は見こめない。」との見解でした。
お父さんは、「家に帰りたい。」と、泣いて訴えます。
どうする? 自宅への退院をすすめるのか?施設へ入所するのか?
家族は、おむつの介助が必要なお父さんを、自宅で介護するのか、迷いました。
3人で話し合いました。
お母さんは、「家に帰りたいとお父さんに泣かれるのは、とてもつらい。家で介護したい。」と、言います。
娘さんたちは、「お母さんに持病があり心配。」「自分たちも、手伝うけど、仕事も家庭もあり、主な介護の担い手にはなれない。」「難しい気がする。」と、心配しました。
病院やケアマネージャーを含めての話し合いのを、行いました。
話し合いの結果は、以下のようになりました。
- お父さんとお母さんの気持ちを尊重して、自宅に退院する。
- 介護が難しい状況になったら、ショートステイや、施設への入所などの対応をする。
- デイケアを利用して、日中のお母さんの介護負担を軽減する。
- 夜間については、夜間対応のヘルパーの介護資源がないため、家族で対応するしかない。
- 入院中に、お母さんと娘さんにおむつ交換などの、介助方法を指導する。
- ベッド、車いすなどの、介護用品を準備する。
退院して、在宅療養が始まった
不安を抱えたままですが、自宅に退院しました。
お父さんは、最初は喜んでましたが、イライラしてお母さんに対して、怒ることが多くなりました。
もともと、穏やかで優しいお父さんだったので、お母さんは驚きました。
昼に困ったこと、お母さんへの暴言
お母さんは、高齢で病院の職員のように、手際よくお父さんの介護ができません。
着替えの時や、おむつの介助の時に、お父さんは、
「痛い。」「もたもたするな。寒い。」「早くしろ。」「来るのが遅い。」
と、大声でどなります。
また、「トイレに行く。ちょっと支えてくれ。」とお母さんに言います。
「お父さん、私は年寄りだから危ないよ。できないよ。」と言っても、
「わしができるのだから、手伝え。」と命令します。
どうも、入院前に比べて、お父さんの知的能力は衰えているようです。
お母さんの介助は、プロと比べるともたもたしていて、イライラするようです。
また、お母さんには遠慮がないため、強い口調で言ってしまうのでしょう。
ベースには、認知症など知的能力の低下があり、入院前のお父さんとはずいぶん違ってしまったと、考えられます。
夜に困ったこと、裸になる、どなる、ベッドからずり落ちる
夜は、お母さんと2人なのですが、日中よりもっと困った行動が現れました。
- 夜間、下半身裸になって、べっどからずり落ちてしまっている。
- 夜間、下半身裸になった状態で排泄し、寝間着やお父さんの身体の身体や寝間着、ベッドや布団が便や尿で汚てしまう。
こうなると、お母さんだけでは、対応できません。
次女さんや次女さんの夫も起きて、お父さんをベッドに戻したり、体や周辺をきれいに整えます。
お母さん、次女さん、次女さんの夫さんは、睡眠不足になりました。
また、冬の寒い時期の夜に、起きてなれない作業をするのですから、負担感が大きいです。
環境をきれいに整えている間も、お父さんは、
「痛い。」「もたもたするな。寒い。」
(あまりに部屋が臭いので換気した)などと、
怒鳴っているので、家族も腹が立つし、気持ちも疲れます。
お父さんは、なぜこのような行動をとるのだろうか
- 思い通りに動けないことや、情けないことで怒りやすくなっている。
- 知的な能力が、入院を契機に低下している。
- 夜間は、せん妄が生じやすく、問題行動が生じやすい。
- 夜、おむつ内に失禁した後、気持ち悪くて脱いでしまう。
- 妻の介助は、プロのようにスムーズではない。
お母さんの状態は
次女さんは、お母さんが心配になり、「大丈夫?お父さんを一時的にしても、施設に預けない?」と、聞いてみました。
- お母さんは、大変疲れた様子で、すぐに泣ぐむ態です。
- 客観的に、お母さんは、しんどそうな状態ですが、「大丈夫。」と自分を把握できてないようです。
- お母さんは、「お父さんが、かわいそう」と、施設の利用にためらいがあります。
- いつも、お父さんに怒られる訳は、「もたもたする自分が悪い。」と思ってます。
- お母さんは、高齢で現状把握や解決の決断が難しいようです。
次女(相談者)さんの気持ちは
- 眠れないから、しんどいな。
- 夫も起こすことになるので、夫に申し訳ない。
- 睡眠不足で車の運転や仕事で失敗しないといいけど。
- お母さん、しんどいだろうな。つらそうだ。持病が悪くならなければいいけど。
- この生活を続けるのは、難しと思う。
次女さんは、お姉さんにも相談しました
お姉さんは、夜の状態を見たわけではありません。
また、昼間も両親と長時間いっしょにいることはないので、お父さんの暴言を聞いたことはありません。
ただ、お母さんが元気がないこと、以前と違ってお父さんがお母さんに命令口調なことには気が付いてました。
次女はケアマネージャーに電話で相談した
次女さんは、お父さんの夜の状態とお母さんの調子の悪さを、電話でケアマネージャーに相談しました。
そこでケアマネージャーは、家に来てお母さんと2人の時に状況を聞き取り、ショートステイの利用を提案しました。
お母さんは、「お父さんがかわいそう。でも、自分も確かに調子が悪い。在宅介護に不安は大きい。婿にも申し訳ない。自分ではどうしていいかわからない。」と、泣いてしまいました。
ケアマネージャーは次女にお母さんとの面談の結果を電話で報告しました。
高齢のお母さんには、決断に対しての手助けが必要で、2人の娘さんとお母さんとで話してみてはと、提案しました。
ケアマネージャからの提案 すぐに取り組むもの
ケアマネージャーは、夜のずり落ちとベッド周辺の汚染は、早急な対応が必要なので、以下を提案しました。
ベッド柵を増やし、ずり落ちを防止する。
家にいるときはつなぎの寝間着にする。
夜寝る前と朝のおむつ交換は次女さんとお母さんで行う。
寝る前のおむつ交換で、大容量のパットを装着する。
朝の着替えは、ヘルパーがを行う。
ケアマネージャーの見解
- お母さんが、元気がなく涙ぐんでいる。かなり、心理的、身体的に余裕のない状態。
- お母さんは、私がお父さんの介護をしなければ、という義務感が強い。
- 疲れすぎていること、高齢であることから、一人で決断できない状態。
- 現状を変える決断には、娘さんたちのサポートが必要。
- 現状、在宅で暮らしながら夜の介助を肩代わりできるサービスはない。
- 介助負担の軽減のために、ショートステイなどの利用が望ましい。
お母さん、長女さん、次女さんで話し合った
おかあさん、長女と次女で話し合った
お母さんの気持ち
- 夜眠れない。体がしんどい。ひざや、腰が痛い。なんとも、体が重い。
- 自分の健康を保てるのか、自信がない。
- 夫の介護は、自分の仕事。
- ひどいことを言われるのはつらいが、病気だからしかたがない。
- 入所してもらって、泣かれるとつらい。罪悪感がある。
- 娘や、婿を夜起こして、介護を手伝ってもらうのは、心苦しい。
- 娘や婿が睡眠不足で、体調を崩したり、仕事で失敗しないか心配。
- どうしていいかわからない。考えられない。
長女さんの気持ちは
- 妹は、お父さんが夜おかしい、お母さんをおこると言っているけど、私の前ではないな。
- おとうさん、前と変わっているようには見えないけどな。
- お母さんは、しんどそうだな。元気がないな。大丈夫かな。
- 夜の介護が大変で、お母さんや次女さん、その夫が大変なんだな。
- 自分も昼に仕事があり、夜に泊まり込んで介護の肩代わりはできないな。
- お母さんの体調が悪くなる前に、ショートステイを使ったほうがいいな。
次女の気持ち
- お母さんが心配なことを、姉妹でお母さんに伝えよう。
- お父さんのショートステイの利用や施設入所について、姉妹でお願いとしてお母さんと話そう。
- お父さんとの面談がお母さんがつらいのなら、姉妹で面談を引き受けよう。
話し合いの結論
お母さんと姉妹で合意したこと
夜眠れないことは、お母さんと娘さん一家の、健康を害して、生活の継続を困難にしていることを3人で確認しました。
寝不足の中での介護で、家族の心理的な状態が悪くなっていることを把握しました。
ショートステイを利用して、家族の状態をまずは立て直すことに、3人で合意しました。
お母さんへの気持ちの手当
お母さんのお父さんへの、罪悪感や挫折感に、手当てが必要です。
娘さん2人は、お母さんへ、“お母さんが精いっぱい頑張ったこと。
それでも、高齢でもあり体調がわるくなっているように見えること”を伝えました。
そのうえで、「このままの生活を続けると、お母さんの体調が悪くなると考えて心配している。」と伝えました。
「お母さんが倒れると、お父さんも娘さん一家も、生活がたちゆかなくなる。」と伝えました。
お姉さんへの気持ちの手当
お姉さんは、たまに日中の短時間お父さんの様子を見るのみなので、お父さんへの受け止め方が、お母さんや次女さんとは違います。
具体的に、夜にお父さんが行った行動のみを淡々と説明しました。
自分が見ているお父さんとかなり違うので、驚いていました。
しかし、お母さんや次女さんの疲れている姿を見て、二人の言っていることは事実で、このままの生活は続けられないと理解しました。
そばで、暮らしてないと姉妹であれ、見える景色は全く違います。
介護の場面では、兄弟間での認識のずれや、誤解は良く生じます。
実際の介護負担よりも、家族間の理解の行き違いのほうが、ストレスになることは、往々にしてあります。
できれば、お姉さんに一晩介護を変わってもらうなどして、経験をしてもらうことがよいです。
むずかしいようでしたら、夜の様子を録音したり、動画撮影してみせることも理解を得るのに有効です。
家族間で、「2週間の在宅生活は、共同で頑張って意味があった」と思うことが大切
お母さんと、二人の娘さんで、この度の在宅介護は、家族にとって良い経験だったと、思うことは重要です。
お父さん、一旦家に帰れてよかったよ。
お父さんの気持ちにも答えてあげられたよ。
家で介護する経験でわかったことも、たくさんあったよ。
一回、家でお父さんを介護したからこそ、
自分の体力の限界もわかったよ。
お父さんには、すまない気持ちはあるけど、
私も、子供に手をかけるようになっては、もっと大変だし。
再入院後のお母さんへのサポート
お母さんは、お父さんへの罪悪感で苦しいようですね。
お母さんに、入所中の面会を、娘さんが変わることを提案しては、どうでしょうか?
お母さん、この提案は安心だと受け入れてくれました💛
お父さんはお母さんには、無理を言うので、、、
施設入所後の面会で、お父さんから「お母さんは、どうした?」「なんで来ない?」と、質問されるかと思います。
「お母さんは、体調が悪く療養している。」と、わかりく説明しましょう。
お母さんは、元気になってから面会に参加してもらいましょう。
家族に余裕があるから、お父さんへのサポートもできる
次女さんは、家族関係が悪くなるのを心配していた
睡眠不足でしんどくて、お父さんが憎く思ってました。
また、そう思う自分が許せなくて嫌いで、よけいに苦しかったです。
お父さんにとっての孫の、私の子供たちも、“おじいちゃん怖い”と、避けるようになってました。
家族の関係が、みるみる悪くなっている状態でした。
眠れることが、こんなに大切だと、初めて知りました。
あのままだったら、お父さんを嫌いになって、憎んでいたよ。
私たちが元気だから、お父さんを外出に連れだせるね💛